ご覧いただきありがとうございます。
宮本正太郎です。
ここ最近YouTubeで動画をみてくださり、楽譜を手に取ってくださる方が増えたので、この編曲のポイントや仕掛けを、文字に起こしてみようと思います。
第一回目は牧田有紗さんと演奏した「青春の輝き」です。
それでは早速解説にはいります。
ピアノによるドラマティックな前奏を経て、Aメロ・サビが静かに提示されます(F-dur)。
Cの1小節前のユーフォニアムはdecresc.ですが、ピアノはcresc.です。F-durからGes-durへの景色を予感させるcresc.をしていただければと思います。(譜例1)
40小節目からユーフォニアムのオブリガードは、旋律と会話するように、またピアノの優雅なアルペジオとも雰囲気が揃うように、graziosoで。(譜例2)
この曲の一番の聴かせどころであるFは、サビの部分がAs-durとなって回帰しています。
68小節目のめまぐるしく変化する和声にのせて、しっかりとcresc.をかけFに突入・・・ではないのがこの部分のポイントです。69小節目の1/4拍子は、一瞬時が止まるような印象を聴き手に与えるような効果をもっています。ここで緊張感を保ち、Fを壮大に。
曲は静的な雰囲気をもって閉じられます。82小節目のピアノはAs-durで解決したように見えますが、第2転回形でまだ不安定さが残ります。少し空虚感のある響きをイメージしながら弾き、83小節で基本形のAs-durをあたたかく迎えましょう。
ユーフォニアムのフェルマータのFの音は6thコードをきめる重要な音です。(13thとして捉えてもよいでしょう。)
ピアノのBassのAsをよく聞き、溶け込むような音で。音程が高くなってしまう場合は、1,2などの変え指を使ってもいいと思います。
全体を通して、F-dur→Ges-dur→As-durという、だんだんと盛り上がっていく構成を大事にしていただきたいなと思います。
次回は中嶋尚也くんと演奏した「イエスタデイ・ワンス・モア」について解説します。
ここまで読んでくださり、ありがとうございました!