「アカペラで愛唱曲を」というオーダーをいただき、2021年4月から5月にかけて作曲、2022年5月15日初演を迎えました。(指揮:相澤直人・あい混声合唱団)
コロナ禍という特殊な状況下で人との繋がりが希薄になり、なにか明るいものを書きたいと思っていたところ、谷川俊太郎先生の素敵な詩に出会いました。 この場をお借りして、付曲のご快諾をいただけたことを感謝申し上げます。
〈1.ここ〉
軽快なリズムにのせて、ややコミカルな旋律が男声によって奏されます。またト長調ではじまった音楽は僅か10小節で嬰へ長調へ姿を変えながら、おどけるように展開されます。
コーダでは冒頭の旋律と中間部(ロ長調)の調性を同時に再現することで、複合的な盛り上がりを見せつつ、最後は可愛らしく曲を閉じました。
〈2.窓のとなりに〉
詩は同じ韻律で書かれた5節から成り立っています。音楽はドリア旋法と長音階が交互に奏されつつ、詩の遠近感に沿ってダイナミックに構成されています。
〈3.そのあと〉
変イ長調の静かなコラールではじまります。それは次第に力強く変容し、組曲全体の音楽的な充実を図るとともに、詩がもつ「希望」にアプローチしています。
私にとってはじめてのアカペラ作品となった「となり」。このタイトルはあい混の団員がつけてくれました。
この組曲が多くの人に届けば、この上ない喜びです。
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